学校に通っているエポニーヌとは裏腹に、コゼットは相変わらずこき使われていました。テナルディエは酒屋の支払いの催促に悩んでいました。あと10日あればと悩む亭主の横で、「あの業突く婆さん、金輪際待たないと言ってたからねえ…」と言いつつ考えた女将は、コゼットに酒屋の支払いを引き伸ばす交渉をさせようと考えつきました。女将は洗い物をしていたコゼットに不気味に優しい声で命令しました。
コゼットが酒屋に行こうと外に出ると、ガヴローシュが付いてきました。酒屋に着き、必死で支払いの1ヶ月延長を頼みますが、案の定「金輪際1日だって待てないね」と拒否されます。しかし、支払いの延長をしないとコゼットの食事が抜かれることを知った酒屋の婆さんは、10日だけの延長を認めてしまうのでした。しかし、10日でいいのに1ヶ月の延長を頼ませたのは、宿屋の女将の作戦でした…。
そうとも知らないコゼットとガヴローシュは女将に怒られると思い落ち込みながらも、帰り道に寄り道していくことにしました。ガヴローシュが宿屋の亭主から盗んできたパンを食べ、コゼットが一眠りつき、そしてふと目を覚ますと、近くに真っ白な子犬がいました。ふわふわの白い毛が気に入ったコゼットはその子犬に“シュシュ”と名前を付け、シュシュと走り回りました。
遊び終わったあと、コゼットはシュシュとお別れをし帰ろうとしますが、シュシュが勝手に付いてきてしまいます。シュシュを飼うわけにはいかないと分かっていたコゼットは無理に別れ、走って街までもどりました。ガヴローシュはシュシュを飼いたかったと思われ、残念そうに俯きました。しかし、シュシュはコゼットらのすく傍まで付いてきていました。そのとき、荷馬車が暴走してきてシュシュがひかれそうになり、コゼットは慌ててシュシュを助けました。
宿屋に帰ったコゼットは案の定、遅く帰ってきたことで女将さんに怒鳴られます。コゼットが女将さんに10日しか待ってもらえなかったことを報告すると、女将さんは上手くいったと思い、顔が緩みますが、すぐに元の顔に戻り「全く役立たずだね、今日は食事抜きだ」と食事抜き宣告をしたあと、溜まっている仕事を片付けるようキツく言うのであった。
洗い物をしに外に出たコゼットは、ガヴローシュが馬屋にシュシュを隠すことにしたと分かり一安心しますが、シュシュが吠えるので女将さんに気づかれそうになります。しかし、女将が洗い物の追加に出てきたときには、幸いにもシュシュがおとなしくしていたので、女将は気付かずに去って行きました。
一方、モントメイユ・シュル・メールでは、新任の警察署長シャヴェールがマドレーヌに挨拶に来ていました。ジャヴェールという名前を聞いた時、マドレーヌはその名前を思い出して表情が変わりましたが、会わないわけにもいかず、マドレーヌ市長はジャヴェールと対面する。ジャヴェールもマドレーヌ市長を見て、以前勤めていたトゥーロンの監獄で何度も脱獄しようとし出獄後も少年から銀貨一枚を盗んだ、ジャン・ヴァルジャンという男に似ていると堂々と話しました。しかし、「そんな男がこの街の市長であるわけがない」とジャヴェールは言いました。
夕方、アランは夕食の準備のため、食材を買っていました。そこでサンプリスと会い、貰い物のクッキーを分けて貰いました。その時、アランはより多く貰えるように兄弟の人数を偽って話しますが、サンプリスにばれ、結局アランと弟と妹、計3人分6個のクッキーを分けてもらいました。家に帰ったアランはクッキーを自分の分も含めて、弟と妹に全てあげてしまいました。
夜にマドレーヌ市長が街を歩いていると、男が店屋から叩きだされるのを見ました。その男はフォーシュルヴァンという、マドレーヌ市長にとって少ない敵の一人でした。マドレーヌ市長はフォーシュルヴァンを抱えて助けようとしますが、フォーシュルヴァンが自分を抱えてる人がマドレーヌだとも知らずに「どんな悪事をやってきたのか分かったもんじゃねぇ」と話すと、マドレーヌは抱える手を放し、何かを考え込むかのように立ち去って行きました。その時すれ違った人の中にファンティーヌがいました。ファンティーヌが「雇って頂き有難うございます」と言いましたが、マドレーヌはそれには気付かずに去って行きました。
テナルディエの宿屋では女将がコゼットの嫌味を言っていました。そのとき、シュシュが吠えたので女将は野良犬が住み着きかけてると思い、コゼットに追い払うように命じました。コゼットはシュシュの居る馬屋に行き、シュシュを抱えて寝ました。
翌朝、突然の悲鳴で跳ね起きたコゼットはシュシュが傍にいないことに気付きます。宿屋の中に入ってみると、シーツや服が破かれ、汚れていました。そしてそれには子犬の足跡がついていました。そのとき、亭主がガヴローシュとシュシュをつまんで出てきました。女将はコゼットが連れてきたと怒鳴り散らし、シュシュを思い切り叩こうとしましたが、コゼットが庇い「シーツ代は働いて返します」と言います。しかし、女将は「お前が働いて返せる額じゃない」と怒鳴り、コゼットをほうきで…。
アゼルマが泣きだし、エポニーヌが女将を止めたころ、コゼットは気を失っていました。
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